ケツメ通算3作目にして、生来のエンタテインメント・バンド資質が全開に。多くのラガ/ヒップホップ・グループの中でも、最もフツウの日本人青年の現実をくまなくすくい取るスキルは最強だ。いわば大作映画にはない、ジンとくる名作2時間ドラマのような感動を作り出した。距離を置きがちだった実家に帰るようになった世代観、教育現場に対するストレートな憤懣(ふんまん)、かと思えば風俗嬢をマジで身請けしようとするピュア(カン違い?)さなんかも顔を出す、愛すべき男子ワールドが炸裂する。もちろん、「はじまりの合図」「夏の思い出」「太陽」「花鳥風月」といった一連のスマッシュヒットナンバーも収録。(石角友香)
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