「僕ら女のコにモテたいんです、Bボーイっていうよりビールボーイですし」……正直だ。ケツメイシは決して「日本のヒップホップやレゲエシーンはヌルい」なんて言わずに、「日本のヒップホップやレゲエも、ポップスとかと同じく普通に聴いて欲しい」というアティチュードを作品化してきた。メロディがメロウで歌詞がスウィートなら、ラップでは失笑エロねたでしっかりオトす。つまりはRyo、Ryoji、大蔵という3者3様のキャラが、どうにも憎めない「ケツメイシ」という人格を表現しているのだ。キャリア第1幕であるこのアルバムはまだまだ若く、怒りや諦観は薄い。けれども八王子ローカルの青春像が各地のローカルと共振し始めたダイナミズムは色褪せていない。(石角友香)
次へ